効果的な斉白石
パーソナリティが番組ごと紹介するというスタイルもあったりで、いろいろ楽しめる。
三井物産と並んで住友商事が早くからこの分野に取り組んでおり、住商ホームショッピングは、スーパーのサミット、ドラッグストアのトモズ、カタログ通販の住商オットー、米国アウトドアのエディーバウアー、本格イタリアンカフェバーのセガフレードーザネッティーなどと同様、同社のダイレクトマーケティング部が運営している。
商社の業務の中でも最も消費者に馴染み深い部門といえるだろう。
ヒット商品には米大リーグ、ダイヤモンドバックスのランディージョンソンも絶賛の「ボディブレード」(一分間に二一○回もの反復運動ができるという板状のエクササイズ器具)がある。
デジタルダイレクトは三菱商事の一〇〇%子会社で、九九年コー月設立と比較的後発。
eコマースやモバイルコマースに参入するエンジンとしての機能を担うべくスピンアウト(独立)したという。
通常、そうした領域にベンチャーで出ていくと、早に力尽きてしまうケースが多いが、テレビショッピングという強い「引き」で視聴者をウェブサイトに誘導し、過去のアーカイブ(資料)化した商品を閲覧させれば……という目論見のようだ。
提携サイトへの情報配信にも同社は積極的で、放送枠購入も広告代理店を介在させず、テレビ局と直接契約し、しかも支払いは売上げ歩合というのが同社のオリジナルなやり方。
通販にありがちなハイリスク、ハイリターンをミドルリスク、ミドルリターンにしたと自負する。
オークローンマーケティングは大企業の後ろ盾なしで、八九年に来日したイリノイ州出身のロバート・W・ローチが、九三年、名古屋に裸一貫で興した会社。
来日当時のローチはまだアメリカの大学院を修了したばかりの青年だったが、日本でビジネスを始める機会を窺い悪戦苦闘の末、取扱品である並行輸入ブランド品をテレビショッピングで紹介するチャンスを得る。
続いて手がけたドイツ製の染み抜き剤「ディディセブン」を自ら実演販売し、一気に波に乗った。
しかし、なんといっても同分野で急成長を遂げたのが、同じく名古屋に九五年設立されたプライムだろう。
二〇〇一年から翌年にかけて驚異的な売上げを見せた「アブトロニックス」を手がけている。
これは今話題のEMSというシステムを利用した器具で、腹部に巻いてスイッチを入れるだけで、一〇分間で約六〇〇回の腹筋をしたのと同じ効果が得られるという。
類似品がたくさん登場したことでも話題になった。
このプライムは非常に合理的なアウトソーシング展開で知られる。
そのテレマーケティング委託企業、ツーウェイシステムについては、次章を参照されたい。
こうした海外商品を主に扱うインフォマーシャル企業は、日本製の商品も手がけている。
なかでもプライムが着とそちらの方向に進んできており、「良品天国」「電脳電気店」といった国産品インフォマーシャル(ホームショッピング番組と同社は称している)や、よりバラエティ番組風の「特選U‥テレビ一番街」「実演販売テレショップ」を制作し、各局から放送している。
その他に、「擬似ライブ」を「新演出」と表現する、九三年より放送の『痛快!買い物ランド』の東京テレビランド、『晴ればれハローショッピング』のベストワークなど、この種の番組通販は挙げたらキリがない。
米系メジャー企業流の通販「ジュピターショップチャンネル」このような一連のインフォマーシャルの流れとはまったく別個に位置し、最近躍進目覚ましいのがジュピターショップチャンネルやQV社Cといった外資系のショッピング専門チャンネルだ。
いずれも商品調達から番組制作・送出、受注・配送まで、すべて自社運営がモットー。
二四時間放送体制の下、自社内にコールセンターを持っているため、視聴者からの反響はリアルタイムで番組に反映される。
ジュピターショップチャンネルは住友商事グループの一員。
住商と世界最大級の通信会社米AT&Tのソフト関連グループ企業リバティメジャーインターナショナルとの折半出資で設立されたジュピター・プログラミング(JPC)と、米国で最も長い歴史と人気を誇るTV社ショッピング専門局ホームーショッピングーネットワークが比率七対三で共同出資し、一九九六年一一月に誕生。
パーフェクトTV社を通じての放送を開始した。
一方、日本では二〇〇一年四月よりオンエア開始という新参のQV社Cは、一九八六年に米ペンシルベニア州に設立以来、着実に実績を伸ばし、二〇〇一年度には三大ネットワークの一つ、NBCに次ぐ全米第二位の売上げを記録した、通販局の最大手。
九三年にイギリス、九六年にはドイツにも現地法人を設立、全世界で約一億二〇〇〇万世帯以上の家庭に向けて、休みなく商品情報を配信している。
二〇〇二年度の売上げは二三億円ほどとまだまだだが、来期見込みは八〇億円を予想している。
私は東京・中央区新川にあるジュピターショップチャンネル社本社を訪ねることにした。
いささか年期の入った縦に細長い建物は、とても放送局が入っていると感じられない。
同じ米系メジャー企業でも、東京・大手町にあるブルームパークの、いかにもハリウッド映画のセット的な近未来っぽさで、訪れる者を面喰らわせるのとはだいぶ趣が異なる。
ただ、見かけと中味は大違い。
一度中へ入れば、そこら中が最新ハイテク機器で埋め尽くされ、そのギャップに、まるでテレビのヒーローものの「敵のアジト」に迷い込んだ気分を味わう。
さらに、マーケティング部PR担当のN・Kの案内で、フロアを上から案内されるごとに、私の驚きは募った。
自前のコールセンターはオペレーター席二〇〇の規模で、二四時間六シフト体制である。
私の訪ねたのは午後三時ごろだったが、ほぼ満席。
受注と同時に在庫データがリアルタイムで表示、既存顧客からの電話には即時に相手のデータが映し出され、同時に商品データをモニタリングしながら、オペレーターたちは質問に応じている。
こうした刻一刻変化する受注状況が即時に番組に反映され、画面にも「注文集中」とか「残りあとわずか」などとクレジットされる。
この文字に観ている側はかき立てられるが、もちろん当てずっぽうに打たれるわけではない。
商品開発者を直接スタジオに招き、詳しい解説を施すといった手もたびたび使う。
そして、売れない商品は容赦なく下げられてしまう。
確かに同社のサービスは旧来の実演販売的なるものから最も遠いのだが、放送全体が醸し出す、そのライブ感は乱具冊が作り出すそれにかなり近い。
ソフィスティケーテッドされてはいるか、とてもグルーヴィーなのだ。
テレビ制作の未来を占う通販番組セールスプロデューサーが陣取る副調整室は、スタジオ全体を見通すことができ、まさに宇宙戦艦Y運輸のコマンドを思わせる。
九七年三月から、ジュピターショップチャンネルは二四時間(うち週一八時間が生)放送体制に入ったのだが、九九年七月には待望の自主放送開始のキューがここから出されたのだ。
生放送時間も、その時から週六〇時間になり、二〇〇一年には日本初の「二四時間ライブ」放送も実施、アウトレッドショップもお台場に開店するなど目覚ましい成長ぶりだ。
ちなみに初年度、番組を導入してもらったケーブル局は一言一局、売上げも一七億円だったのが、二〇〇二年度はそれぞれ二八〇局、二七六億円と飛躍的に増えた。
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